片手界頂上インタビュー

知られざる(?)片手界の深層に迫る!!

―はじめまして、CosmicRaise.netのgirlsaidと申します。今日は片手プレーヤーの頂点に立つお二人にインタビューさせていただけると言うことで、知られざる片手プレーヤーの真相に迫る!!という感じでやらせていただきたいと思います。

CELI: わかりました(笑)よろしくお願いします。

KSSA10: はい!よろしくお願いします!

―「片手なのになんかすごい人も世の中いるらしい」程度しか知らない人も多いと思いますので、まずは「片手プレー界隈ってどうなってるの?」というところからお聞きしたいのですが、片手プレーで皆伝はまだいないですよね?(*1)片手十段のプレーヤーってどのぐらいいるものなんでしょうか。

CELI: ACでは皆伝はまだ一人も居ませんね、十段はDPメインの方も含めると4、50人というところでしょうか。

KSSA10: はっきりとした数はわかりませんがそれくらいだと思います。

―十段全体が13,000人近くいることを考えるとやはりかなり少ないですね。

KSSA10: 今十段ってそんなにいるんですね!確かにそれを考えると少ないかもしれません。

CELI: 確かに片手となるとプレー人口のこともあって割合はかなり少なくなると思います。難易度的にも非常に高いですし。

―皆伝の難易度はどんなものなんでしょうか?両手の感覚だと、BITTER CHOCOLATE STRIKERでAAA出してしまうなら皆伝ぐらい余裕なのでは、と思ってしまうのですが。

KSSA10: 自分の場合は押せる場所を出来るだけ光らせて稼ぐといったスタイルをとってるので、やはり皆伝レベルの曲になってくると指が足りないという感じです。

CELI: 難しい質問ですね、両手と比べるとベクトルがかなり違ってくるのですが、正規譜面限定という制約が片手にはかなり影響していて、ランダムで地力をいくら上げても特定の譜面を攻略出来ないと突破出来ないことが大きいです。難易度は前人未踏なところもあり自分でも計りかねます、死ぬ程難しいことは確かです(笑) 特定部分の攻略は必須ですね。

―その辺りは両手以上に大きな壁になっているんですね。ちなみにボスはどの曲になるんでしょう?自分などはどれも指が足りないように見えてしまうですが……。

KSSA10: 僕は天空が抜けられないので今のところは天空ですかね……。

CELI: 全てボスです(笑) 全てに死ぬ要素が沢山あって非常に難しいのですが個人的には今は冥です。細かく見るとまず嘆きのデニムと階段、天空は地力次第で抜けても卑弥呼は低速が出来なければ厳しいと思います。その点はSPと同じですね。それと片手だと特に癖がつきやすいので現在の悩みの一つでもあります。

*1 インタビュー後にCELIさんがAC初の皆伝を達成! → 動画

片手プレーならではのむずかしさについて

―先ほどKSSA10さんもおっしゃっていましたが、両手以上にある壁を超えると途端に押せなくなるところがあるんでしょうか?

KSSA10: 自分は両手をやったことがほぼないので、ここはCELIさんお願いします(笑)

CELI: それは確かにあります、ある一定のラインを超えると北斗がどうしても必要になってくるのでそこでつまずく人が多いと思います。具体的には☆11の物量系辺りですかね。普通の運指で誤魔化せる範囲を超えてきます。

―物量というとKung-fu Empire、B4U (BEMANI FOR U MIX)あたりのEMP系とかでしょうか。

CELI; そこら辺になると片手でもかなり上級譜面になってきて、運指のみならず脱力等のテクニックが必要になってきます。そこが醍醐味でもあるんですが。

―なるほど。単純な物量での難易度の跳ね上がり方もかなりすごそうですね。正規鏡の使用率がわりと高めなイメージがあるのですがそこはどうなのでしょう?

KSSA10: 自分の場合は正規鏡はほとんど使いません。先ほどCELIさんも言っていましたが、正規鏡は癖がつきやすいという点があるのと、同じ譜面ではなく色々なバリエーションを練習したいので、基本はランダム固定ですね。CNが絡む場合などのどうしようもない配置になりやすい譜面は正規や鏡でやることはあります

CELI: 僕は正規鏡はクリア狙い、ランダムはスコア狙いというのが基本的な使い分けになっています。ですが最近はクリアもランダムを使用することが多いですね。正規鏡は特定の譜面の練習やスコアの安定に使用するといったことが多いです、喫茶店さんと同じく普段から色々な譜面に対処出来るようランダムを常備するという点では両手プレーヤーと共通するところがあり、実は変わらないのかもしれません。

―なるほど、このレベルだとそうなるんですね。ランダムをかけられるようになるまでが長そうなイメージがありますけど、そこらへんは両手やDPでも個人差あるところですし判断がむずかしそうですね。

CELI: そうですね、はじめはホームポジションや基本的な運指を覚える為に正規譜面でやる方がいいと思います。当然両手用に作られている譜面ですが、なぜか正規は片手でも叩き易いように出来ていることが多いんです(笑)それから捻った譜面に対応出来るようランダムで練習するというのが一般的です。

KSSA10: 確かに個人差があるかもしれません。ランダムに関しては、片手プレーを始めたばかりでも使っても良いと考えています。ホームポジションありきで、使いたいオプションを使って楽しくプレーしていくのが良いのかなと思います

―同時押しの形なんかはできるようになってしまえばそれほどでもないのでしょうか。mosaicなどは☆12上位なように思えてしまうんですが、プレー動画などを見ているとかなり余裕で押していることが多くて不思議です(笑)

KSSA10: 同時押しは片手プレーにおいて最も課題となる部分ですね。特に3つ押しからは様々な押し方を要求されるので、習得するまではかなり練習が必要かもしれません。

CELI: 同時押しは運指の引き出しが多ければ多い程良くて、押し方の知識があり、かつそれを瞬時に適用する能力がものを言いますね。普段からの練習が重要なのは勿論ですが、一度覚えてしまえば技術的には乱打と比べると楽な部類かもしれません。mosaicは個人的には上記のことと皿のアドバンテージもあり☆12下位な印象ですね。

KSSA10: 個人的にはmosaic難しいです(笑)

CELI: いやいや、☆12片手入門でしょう。

KSSA10: はい……。

―(笑)

―逆に両手プレーと比べると特にむずかしくなる曲っていうのはどんなのがあるんでしょう?AAはかなりむずかしくなると聞いたことがあるのですが。

KSSA10: 多分ですが、高速系や物量系は大体難しくなるかと思います

CELI: AAは難易度の跳ね上がり方が顕著ですね、SPでは練習曲と言われている曲でも片手だと挑戦曲になります。僕の場合は喫茶店さんとは逆に、高速系は案外誤魔化せて中速物量だと無理な北斗が生じて難しく感じます。嘆きの樹や天空の夜明けは練習曲とはほど遠いと言った感じです。Scripted Connection⇒ Amix、黒髪乱れし修羅となりて、Brokenあたりも両手と比べて非常に難しくなりますね。

―両手だと下の方の練習曲という感じがありますけど、そうなるんですね。LASER CRUSTER、oratio、SOLID STATE SQUAD辺りより断然上という感じですか?

CELI: その辺もかなり難しいですね。個人差もありますが両手が簡単なわりには、という視点だと先ほど挙げた曲の方が大きいです。

KSSA10: 今挙がった中だと、僕はBrokenが一番難しくて、次にoratio、黒髪であとは同列という感じがしますね。

CELI: oratioは難しいですよね。螺旋な上にだんだん密度が上がって最後はデニムだし(笑)雪月花みたいに皿絡み系だとぐっと片手では有利です。

―Brokenがそんなに上位なのはすごく不思議です。両手だとそこまで特徴のない簡単譜面という印象なんですが。

CELI: そうなんですよ!両手では運指を固定出来るなら全然楽なんですが、片手だと運指が通用しなくてずっと北斗です、プチデニム(*2)なんかは発狂ものです(笑)

―これは両手の人から見るとかなり不思議な話かもしれませんね。

CELI: そこが面白いところでもあり片手の醍醐味でもあります。北斗でしか対処出来ないと思われるところを運指や脱力奏法、認識方法等色々な工夫で攻略して行きます

*2 Broken(SPA)37小節目 → 譜面

片手プレーならではの魅力

―ライバルと競いたいであるとか、好きな曲をクリアしたいといった発想の人ではなかなか片手プレーに手が伸びないと思うのですが、お二人から見た片手プレーの魅力って他にはどんなところがありますか?

CELI: 確かに両手プレーヤーに比べると人口は少なく、競うという面では物足りなく感じることも多々ありました。しかしそれ以上に両手にはない攻略要素があるという点で僕は片手プレーの虜になりました。SPやDPもやってきましたが、より難易度が高く、かつ工夫が出来てそれが成就して上達が出来る。そのプロセスと達成感があることが片手プレーの魅力だと思います。新しい運指を覚えて今までハズレ譜面だと思っていた譜面が、当たり譜面になった。この瞬間が本当に楽しくて、もっとどんどん引き出しを増やそうってなりますね。

KSSA10: 簡単な言葉になってしまいますが、片手プレーならではの攻略法や演奏感が一番の魅力だと思います。なかなか手が伸びないのは確かにあると思いますが、いろいろな形で片手プレーの可能性を発信して興味を持って頂きたいと思っています。特に自分は片手プレーを始めた理由がLISUさん(*3)の影響だったので、プレーヤーに対する憧れがこのスタイルに直結した感じですね。

CELI: 片手ならではの演奏感は確かにありますね。プレースタイル自体もなんとなくカッコいいし(笑) それと僕もCS6thの達人ムービーのLISUさんの影響もあって片手プレーへの憧れっていうのはありました。

―僕も初めて見た片手プレーがLISUさんだったんですが、やっぱりあの方の影響はすごかったんですね。

CELI: ほとんどのIIDXプレイヤーにとって憧れの存在なんじゃないでしょうか。

KSSA10: 間違いないですね。

―ありがとうございます。もちろん本当の魅力は実際にやりこまないとわからないところだとは思いますけど、文字で見るだけでもかなりグッとくるお話でした。

*3 CS6thのTATSUJIN MOVIEにも動画が収録されている伝説の片手プレーヤー。参考動画

二人の関係、プレーヤーとしてのキャラについて

―お二人はお互いをどんなプレーヤーとして意識していますか?

CELI: 兄弟というかライバルというか、トキとラオウみたいにタイプは違うんですが宿命のライバルですね。IIDX以外だと普段から悩みも聞いて貰ってお互い関西と関東を行き来してとても仲良くさせてもらっています。リアルKSSA10のことは僕も好きです。

KSSA10: 最強のライバルですね。あとは自分のIIDXの歴史の中で最も影響されたプレーヤーの一人でもあります。

―まさに好敵手という感じですね!

CELI: 最近はどないかして勝てないかと模索するばかりです。あくまで自分のスタイルで勝ちたいです(笑)

KSSA10: いざ言葉にすると恥ずかしいものがありますが、今楽しく片手プレーを出来てるのは間違いなくCELIさんのおかげでもあります。

―そんなお二人の対決はかなり盛り上がりそうですね。とても楽しみです。

KSSA10: ありがとうございます。当日は面白い物を見せられるよう頑張ります!

CELI: まあ僕が勝ちますけどね。分かりきってるけど勝負してあげてもいいですよ(笑)

―余裕そうですね(笑)

CELI: 強気に出てみましたけど実際はかなり余裕ないです(笑)

KSSA10: いや〜、こっちもほんとキツイですよ(笑)

最後に

―最後にお二人から、今回の対決で注目してほしいところをお願いします。

KSSA10: 今回はスコア勝負なので、片手プレーでどれくらいのスコアが出せるか見てもらいたいと思います。

CELI: 僕が喫茶店さんをけちょんけちょんにするところを……というのは冗談で。お互いに得意分野が違って、喫茶店さんは北斗系、僕は運指系なのでその点をいかに対策してくるか。あとは片手プレーならではの指の動き、北斗などを注目して頂きたいです。同じ曲でも全くプレースタイルが違うので見比べてみると実はかなり違うのかなと、僕自身楽しみでもあります。

KSSA10: あとは当日の二人の仕上がりにもご期待ください。

CELI: 少しでも片手プレーの魅力を伝えられればと思います!!

―当日もがんばってください!今日は貴重なお話をありがとうございました!